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2023年11月17日 

朝ベッドから起き上がると、側で着替えていた夫から、おはようの代わりに「誕生日おめでとう」の言葉をもらった。76回目の誕生日を迎えました。日本に住む子供たちからもメッセージがあり、孫からは「ハッピーバースデートゥーユー」の歌と共に、おもちゃで作ったバースデーケーキを掲げるビデオメッセージも届きました。

しばし、我がモイケル娘と文字チャットのやりとり。ソラ坊が昨日からインフルエンザに罹り彼女は仕事欠勤であります。そして、「今年は流星群が見られるかな?」と言います。いやいや、無理であろう、ポルトはここ一か月雨が降り続いて今日も然り。辟易しておるんだよ。

こんなことまでモイケル娘は覚えていてくれてるんだなぁと母のわたしはちょっと嬉しかったのあります。流星群とは毎年わたしの誕生日前後から数日間夜空で活動するしし座流星群のことですが、それについて古い日記を再掲したい。

某年11月17日

眠れずに目が覚めた夜半には、よくベランダから星空を見上げる。

夜空の星を見上げることは過去を見ることである。何十光年、何百光年、果ては何千何億光年もの長い宇宙の旅を経て、銀河系宇宙の端にある我らが太陽系の、その中の地球という惑星に住む私たちの目に入る星たちの光。何気なく見上げる夜空の星星には人類の想像を超える旅の物語があるに違いない。

この月の17日から19日には、しし座流星群の極大日と言われ毎年たくさんの流星が見られます。もちろん、空が晴れていることと月が出ていないという条件にめぐまれたらの話です。 今日はそれに因んだ思い出エッセイを載せてみたいと思う。以下。
今年もしし座流星群が見られる時期になった。 ピークは11月17日とある。

数年前の真夜中、午前2時ころ、わたしは古い家の表通りに面したベランダに座り込み、ひとり星空を見上げること1時間ほど、生まれて初めて目にした数十の流れ星に、言葉もなくただただ感嘆のため息をつき、こんな素敵な贈りものはない、と密かに自分の誕生日に祝杯を挙げたのであった。
    
この流星群をわたしが仰ぐことになったのには、ちょっとしたいきさつがある。わたしが補習校で中学1年のK.T.君と国語を勉強していたころのことだ。その時、アメリカの児童文学作家、E・L・カニングスバーグの作品、「流星の夜」を一緒に読んだのだった。

それは、ニューヨークの祖母のもとに一時滞在でやってきたルイース少年が11月のある夜、祖母に誘われて、33年に一度しか起こらないと言う、街の夜空いっぱいに輝く、「テンプル・タトル」という彗星の星屑(これをリーオニドと言うのだが)を、セントラル・パークに観に行く、という話である。

壮大な星の夕立を、次にもう一度観れるとしたら、ルイースは43歳になっており、祖母は63足す33、つまり96歳だ。恐らくもうチャンスはないだろう・・・、と少年が気づくまでに至る祖母と孫の暖かい交流が流星群を通して描かれている。
  
彗星テンプル・タトル・・・
当時パソコンを持っていなかったわたしは、帰国時に日本から持ち込んだ天文カレンダーの本を調べ、それが俗に「しし座流星群」と呼ばれるものであること、次に流星群が観られるのは、1998年であることを知った。「1998年のリーオニドをきっと観ようね」と、K.T.君と約束したのである。
  
K.T.君との約束だから、と言うより自分の宇宙への興味に惹かれて、それからわたしはカレンダーが新しく変わるたびに、「1998年テンプル・タトル、リーオニド」、と、年初めの、そして12月の暦の上に毎年書き続けていった。それが5、6年も続いただろうか、1998年の11月17日、わたしはついにリーオニドなる流星群を観ることができたのである。 

その夜、真夜中2時から3時の間で数えた流星の数は49個。我が日記にそう綴ってある。それを確認しようとわたしは1年に一度書くか書かないかの、今では日記とは名ばかりになってしまった古い日記ノートをひも解いてみた。


daiary2023.jpg
古い我が日記にはさまれた落ち葉。
   
開いたページには数枚の楓の押し葉のブックマークが挟まれていた。この押し葉にどんな思い出があったのか、これらが日記に挟まれて日本から持ってきたと言うことを除いては、もう覚えていない。記録の主であるわたしが時折手に取ってみる押し葉のブックマークは、色褪せながらも、その乾いてしまった葉脈の中に半世紀もの時の流れを一人じっと湛えてきたのであろう。

あの頃13歳のK.T.君は、その後わたしのようにリーオニドの流星群を夜空に観たのであろうか。あれから幾年月、K.T.君はどこにどうしているのだろうか。彼は、50歳に届くか届かないかでポルトで亡くなった我が友の息子でもある。

毎年11月17日の自分の誕生日には、流星群とK.T.君と友のことが思い出される。

今年もひとつ歳をとった。

テンプル・タトルについて

しし座流星群は毎年11月17・18日ごろをピークに数日間見られるが普段はそれほど多くは見られない。しかし彗星が地球軌道に接近する33年に1度、「流星雨」と呼ばれるほどのたくさんの流星が見られことがあり、その記録は古く、西暦902年に中国の天文学者がしし座流星雨を見たという報告がある。

最近では1966年にアメリカのアリゾナ州キットピークで、突発的に1秒間に40個もの流星観測されたと言う。アリゾナ・ツーソンの大学に短期留学したわたしは、日本で知り合った友人ロブとグリーンのずっこけ3人組(下記にて案内)でキットピークの天文台を訪れ巨大な天文観測鏡を見てきたのあった。

★アリゾナ留学記・ズッコケ三人組
http://spacesis.blog52.fc2.com/blog-entry-1598.html

ではまた。

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