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2023年9月29日 

所沢に住む妹から、「十五夜のお月様が我が家の屋根の上に。きれいだヨ。ススキも今日にあわせたように咲きました。お団子も供えた」とメッセージが入った。お団子いいね。食べたい。月より団子だ、とはわたしの返信。今宵は中秋の名月であります。

我がフラットのすぐ近に子供たちが成長した庭付きの小さな借家がある。15年ほど住んだのだが、満月の夜は、わたしはベランダに座り込んでしばし月の美しさに見とれたものだ。その家の裏はご近所のジョアキンおじさんの広い畑で他は何もなく見晴らしがよかった。春は一面菜の花畑、夏はトウモロコシ畑になり、夜空の観測にはもってこいであった。

当時は日本から持ち込んだミニ反射望遠鏡で月面や木星を探し当ててみていたものだ。見に反射望遠鏡でもクレーターは見えたし木星に至っては非常に小さくではあったが二つの衛星も見えたものだ。フラットに移ってからは眺められる空の範囲が狭まってがっかりしたが、月夜には時々、我がネコもベランダにやってきた。月を眺めるネコはなかなかに哲学的であります。

夫にも「今夜の月はきれいだよ」と声をかけるのですが、「あ、そう。」で終わり(笑) 周囲を見回してみると、月が美しいだの、紅葉がきれいだの、吸い込まれそうな真っ青な空だのと言うのはどうもこちらの人の一般的な感覚ではないようです。これは四季の美しさに恵まれた日本人そのものの感覚ではないかと思われます。

それは、毎年8月最後の日曜日に近所で催される花火の打ち上げについてもいえるのですが、華やかに花火が空にあがっても、ベランダや窓から顔を出して眺めるのはご近所にはわたし以外いません。いくぞ!と大きな音とともに打ち上げられ、夜空に瞬間に散る花火をみては思わず「きれいやなぁ・・・」といつも独りつぶやいています。

さて、話は中秋の名月こと「十五夜」です。この季節、満月を仰ぎ見る時に思い出されるのが、もう60年位も遡る、我が父が地方競馬の騎手で家にいたことがなく、母子3人で弘前下町の祖母の家に大家族の一員として住んでいた子供のころの「十五夜」です。

十五夜なると、毎年決まって祖母のタマばぁちゃんが「おはぎ」を作り、季節の果物の梨やりんご、それにススキを添えて縁側に置き、お月様にお供えをしていました。あの頃の記憶をたどり、祖母の家にあったような縁側の画像をネットでさがしてみたら、ありました!

縁側①
Wikiより

祖母の家もこういう感じで、縁側の前には庭がありそこには小さな池がありました。縁側の左手前の建物は台所で、そこには水ポンプ、釜戸がありました。

ポンプかまど
  水ポンプ                              釜戸 (Wikiより)

祖母の家は玄関口を入ると裏の畑まで土間が続き、庭のトイレの、当時は便所と言いましたが、側にはドクダミが植えてありました。ドクダミの強烈な臭いは今でも覚えています。縁側の画像を探している最中にこんなイラストに出会い、思わず吹き出しました。

縁側2
Wikiより

服装、方法こそ違え、わたしと妹もおはぎが待ちきれずに、こっそり縁側に行ってつまみ食いせんとするところを毎度祖母に見つかり、「お月様が先だよ」と言われたことだろうか。

チョコレートやケーキなどお目にかかれず、おやつといえば握り飯はいいほう。たいては畑のトマトやキュウリー。そのキューリを縦半分に切って種の部分を取りのぞき、そこに味噌を少しつけたのが、これまた美味しかったのであります。昔ながらの田舎のこの食べ方は我が東京息子が子供の頃好きで、大人になった今でも、わたしが日本に帰国したときは、たまに食卓にのります。
なんとまぁ、時のかけ離れた、しかし、あの子供の頃と同じ月を見るという遠い昔と今宵の十五夜の話でございました。

ではまた。

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